携帯に入る迷惑メールが多いので、警視庁のサイバー犯罪対策課に被害届を出してきた。そもそも、相手は名乗らないし、送る相手をまちがっている。もとをただせば「まちがいメール」なのだが、一向にやむ気配がない。警察には、これまで来たメールアドレスやメールの内容も資料として提出してきた。警視庁の広報によると、サイバー犯罪は振込み詐欺とリンクしており、警察としても本格的に調査体制を整えていくという。それにしても、メールは受信するにも無料ではない。電池だって消耗している。それなのに、あまりにも携帯会社の対応が悪く「規定では、1日100件を超える迷惑メールが来ないと対応できません」とマニュアル通りにショップの店員は言う。それでは1日に99件迷惑メールを被っている顧客は相手にされないというわけか。

警視庁にパイプが太い知人の弁護士、雅法律事務所の猪野雅彦弁護士によると「睡眠不足など、精神科の診断書一枚で、健康被害が出たとして訴訟できるよ。困ったら言って来てよ」と言う。
眠れなくなったら、ぜひそうしよう。

今、警察では、迷惑メールや違法サイトについて、一元的に初期捜査を行えるように、捜査すべき都道府県警察を、警察庁が調整する捜査方式をとっている。これにより、通報者から連絡があると、インターネット・ホットラインセンター、そして警視庁へとデータがあがっていき、発信元を解明してから警察庁へ。やがて都道府県警察へとデータが渡っていくことになる。
「これまでは、迷惑メールやサイトの通報先は、消費者庁、総務省、消費者相談センターなど、報告先がバラていてわけがわからなかった。しかし、これからは、警察が一括管理するから、安心していただいていいです」(警視庁関係者)

猪野弁護士によると「毎日、メールがあれば、生活を侵害していることになる。営業妨害として立件できる」と言い切っている。
すると「送るのをやめてください」と勝手に入ってくる広告メールも、1ヶ月くらい放置しておけば、営業妨害として訴訟する対象になるわけだ。おもしろいから、片っ端から訴訟してみるのもいいかもしれない。

警視庁では、サイバー犯罪捜査体制をするために、積極的に民間採用を行い、人材育成を計るとも言う。つきまといメールについても、市民相談が来れば対応すると警察庁の広報は言い切る。
「そうはいっても、ストーカー規正法については、作られたのが古く、メールについては言及していない。警察署の胸三寸というところがある。熱心な都道府県県警ならデータを集めたがるが、田舎の警察署ははっきりいって面倒くさがるのではないだろうか」(警察ジャーナリスト)

これまで、警察はサイバー分野に明るくなかった。ツイッターとフェイスブックの区別もつかない警察官もいる。市民が安心して暮らせるように、サイバー分野でも技術革新していただきたいものだ。

(来目流樹)