日教組(日本教職員組合)が、反日の元凶であると、いまだに思っている人々が多い。
大阪で再び、君が代斉唱“口元チェック”問題が持ち上がっている。
それを、この切り口から考えてみよう。
昨年の3月、大阪府立和泉高校の卒業式では、教職員が君が代を歌っているかどうか、口元をチェックしていたことが議論の的となった。
その指示を出した中原徹校長は今、大阪府の教育長となっており、「教職員の起立と斉唱をそれぞれ現認する。目視で教頭や事務長が行う」として、口元チェックを行うように、府立高校138校、支援学校全31校に9月4日付で通知した、というのが9月19日の毎日新聞の報道だ。松井一郎知事も「しっかりやってもらいたい」と評価した、という続報も夕刊に載った。
これに対して、中原徹教育長は、自身のブログで次のように嘆いている。
「毎日新聞の方は、『またか・・・』という気持ちです。しかも、この記事を一面に持ってくる編集の意図がよく理解できません」
自信を持って行っている施策なら、一面で報道されることは、ありがたいことではないのか。そして、校長の時に自校で口元チェックを行い、今度は教育長として府下の高校などに口元チェックの指示を行ったのだから、再び報道するのは当たり前で、「またか」というのは、よく分からない感想だ。
こうも語っている。
「府民の皆さんからすれば、少し起立するのが遅れたとか、起立の姿勢が悪いとか、どの程度の大きな声で歌っているだとか、どれだけ口を動かしているかという点に関心があるわけではなく、厳粛な卒業式等で真摯な態度・姿勢を公務員が見せているかという点を重視されるのだと思います」
中原教育長は、毎日新聞が自分への取材をしなかったことも憤っている。そうだとしたら自分の指示の内容はこうだと反論するべきだが、なぜか「府民の皆さん」がこう思う、という内容になっている。
毎日新聞としても、通知の内容は入手しているであろうし、それが口元チェックの指示だったという報道は間違いではなかった、ということであろう。
大阪府では、2011年6月、教職員に君が代の起立斉唱を義務付ける条例が成立した。
君が代斉唱の際に起立しなかったとして、2012年には32人が、2013年には9人が、戒告、減給などの処分を受けた。
処分を受けたのは、日教組の「反日教師」と思っている人々も多いようだが、そうだとしたら不思議ではないだろうか?
輿石東、神本美恵子、那谷屋正義、斎藤嘉隆と、日教組出身の国会議員は多い。
君が代の起立斉唱の強制は、思想・良心の自由に反する憲法問題というのが、かねてからの日教組の主張なのだから、大阪の事態を国会で問題にしてもいいはずだ。しかし彼らは堅い沈黙を守っている。
実は今、日教組は、日の丸・君が代反対運動を行っていない。
1999年に「国旗及び国歌に関する法律」が施行され、2011年には、国旗へ向かって起立し、国歌を斉唱するよう指示した校長の職務命令が、「思想・良心の自由」を保障した憲法一九条には違反しない、という判断を最高裁は下した。この動きの中で日教組は、「日の丸」「君が代」について、口をつぐむようになったのだ。
最高裁の判例がある以上、起立や斉唱を拒否する教職員への処分は合法ということになり、度重なれば失職することになる。教育の現場から去る結果になってしまうのなら、かえってマイナスだという判断から、方針転換するということもあっていいだろう。
だが、日教組ははっきりした声明を出したわけでもなく、いつの間にかフェードアウトしてしまっているのだ。
大阪での、君が代斉唱での不起立は、教育合同(大阪教育合同労働組合)という少数組合を中心に取り組まれている。
日教組は、親日でもなければ、反日でもない。
議員を初めとした労働貴族を支える、利権集団にすぎない。
(FY)