フジテレビの視聴率がふるわず、4位に落ち込んでいる。「振り向けばテレビ東京」状態になった原因について、さまざまな報道や検証がなされている。加藤浩次がAKB48の渡辺麻友の頭を蹴ったとか、日本テレビの『24時間テレビ愛は地球を救う』と同じタイミングで、24時間テレビをパクったような節操のなさも指摘されている。
「芸能事務所と癒着しすぎで、キャスティングありきの番組作りが問題」「いや、幹部連中がバブル時代の夢よもう一度、という感じでかつての金銭感覚から脱却できない」とさまざまな見方がある。
このところ、視聴率が好調なテレビ朝日は、ひとまず新企画は深夜番組でトライしてみて、好評ならば、ゴールデンタイムにもっていくというアプローチをしている。結果として制作プロダクションや作家が「フジテレビに企画をもっていくと却下されるが、テレビ朝日はすぐに採用してくれる」とおもしろい企画が集中するようになった。たとえば『いきなり! 黄金伝説』は2001年からスタートしたが、これも、ココリコが深夜番組で成功させてのゴールデン昇格である。
フジテレビはF1の番組の放映権を年間数十億円払って購入したり、高級な食材をざっくりと切り捨てる料理番組『アイアンシェフ』ような時代錯誤のバブリーに作るよりも、かつて80年代に「おもしろくなければテレビじゃない」と開きなおった番組作りに徹底したほうがいいと思う。かつて女子大生を全面に出した『オールナイトフジ』や、女子高生を夕方枠に出演させ、多数のスターを輩出した『夕やけニャンニャン』などは、番組自体で出演するタレントをオーディションで決めるなど、視聴者と一体となった企画が充実していた。
今のフジテレビには視聴者が不在である。また、『料理の鉄人』を13年ぶりに復活させた『アイアンシェフ』や、97年の『ビーチボーイズ』を彷彿とさせる月9ドラマ『SUMMER NUDE』、11年ぶりに復活した『ショムニ2013』、それにどうみても『あいのり』のリメイクにしか見えない『テラスハウス』など、昔に成功した番組の焼き直しや続編が目立つ。「またフジの焼き直し商法か」「どれも結果出てないのに」「過去にしがみ付きすぎ」という声が視聴者から上がっている。
フジ系列企業では、6400億円の収益のうち、テレビの収益は2800億円にすぎないとされる。「利益を追求するのに、そんなに追い込まれていない」状態が、サラリーの高さを生み、金満社員たちが、庶民感覚を忘れた番組作りに終始しているのだろう。
一部の報道では、「東京五輪」の施設が半分ほどベイエリアに集中するので、お台場に局があるフジテレビが浮上するという見方もある。
「だが、7年後の東京五輪に縋らないとならないほど、フジテレビは追い込まれているのか」(他局スタッフ)
予算削減で、「おもしろい番組が作れない」とも聞く。
だが好視聴率をキープした日本テレビのドラマ「woman」は、たった制作費2000万円だ。「視聴者に愛されるとは何か」を真剣に考えないとフジテレビは外国資本あたりに買い取られる。
(鹿砦丸)