9月2日14時頃、埼玉県さいたま市、越谷市、北葛飾郡松伏町、千葉県野田市、および茨城県坂東市において突風が発生し、大きな被害が発生。竜巻の映像が繰り返し恐怖とともに放映されたが、その「竜巻映像」の撮影を狙う、フリーのウェザーレポーターが増えている。

「竜巻が置きやすいのは、地面が暖かい平地です。海が近い場所も竜巻が起きやすい。越谷市や野田市で起きたのは、大気の状態が不安定になると発生する暖気竜巻だとされています。この種の竜巻は『ダウンバースト』と呼ばれ、積乱雲の中を上空の冷たい空気が途中で弱まることなく地表付近まで降下し、爆発的に発散して強い吹き出し風を起こす現象を言います。積乱雲の発達情報をこまめにチェックして、竜巻が起きそうな場所をチェックして、その場所に駆けつけるウェザーレポーターが増えています。インパクトがある竜巻の映像はテレビ局が高く買いますからね」(気象予報会社スタッフ)

気象庁によると、昨年の竜巻は陸上で28件、陸に上陸しない海上の竜巻は50件、発生エリアも北海道から九州まで幅広い。撮影できればテレビ局が何回も使うので、独占映像になれば10万円~20万円ほどになるケースもある。もちろん発生から消えるまで追跡する映像がもっとも価値がある。
予測して出動しても、空振りの場合も多いだろうから、儲かる仕事ではなさそうだ。
自分が撮影した映像が放映されることに、夢を感じているのだろうか。

「竜巻は数十メートルから数百メートルで、多くは10分以内に消滅するので、予測は難しい。雲の発達状況と、空中と地上の気温を常にチェックして予測を立てないことには話にならない。逆に、竜巻を予測できるノウハウが確立できれば、それだけでビジネスができます」(同)

あるウェザーレポーターは語る。
「通常の気象データだけでは、竜巻は予測できない。漁協と組んで局地予報したり、山間部の気象を細かく分析する。これから竜巻予報は、分野として稼げるようになってきますよ」
気象庁に問い合わせると「被災地には調査隊を派遣しています。突発的に発生するので、ピンポイントでの竜巻予測は不可能です」とのこと。
不可能に挑戦するウェザーレポーターたちによって、予測技術の向上に繋がることを期待したいものだ。

(千代田次郎)