新聞やテレビで用いられるアンケート結果には、実際の世論を反映しているのか? と疑問が持たれることも多い。
先日、日本リサーチセンターの調査員が、「ご協力のお願い」を投函していった。
それを見ると、日本リサーチセンターは、2012年7月には「五輪の東京招致について」というアンケートを行い、「賛成56.8%」という結果が、日本経済新聞、毎日新聞、読売新聞に掲載されたとのことだ。これまでに、「中国に対する意識調査」「政策の認知と広報に関する調査レポート」「数字は語る 子ども手当の使い道について」などの調査を行っている。
今回の調査内容は、「自動車についてのアンケート」だという。
「ご協力のお願い」が投函されていたのは土曜日だが、「明日、伺います」と調査員のメッセージが記されている。
かつては夜型の生活をしていた私だが、昼型の生活に変えた。
だが、土曜日だけは夜更かしし、日曜は朝寝をしている。それくらいは、庶民に許されたデフレ時代の贅沢だろう。朝寝にはお金はかからない。
回答すると1000円分の金券がもらえるようだが、その程度で、貴重な朝寝が妨げられたらたまらない。
調査員の携帯番号があったので、電話した。出たのは女性だった。
「調査は、平日に来てもらいたいんですけど」
そう頼むと、彼女は言った。
「私、骨折してて、主人に付き添ってもらっているので、平日は無理なんです。日曜日の夜はどうですか?」
平日は自宅で料理を作っているが、日曜日の夜は外に出かける。これも、数少ない楽しみの一つだ。
「日曜日の夜は出かけてます」
すると、彼女は言った。
「あんまりお金使わないでください。いくらアベノミクスだからといって、そんなにお金使う必要ないですよ」
「ちょっと、見ず知らずのあなたに、なんで、生活のあり方に干渉されなきゃならないんですか? あなた、アンケート調査員でしょ。生活アドバイザーじゃないんでしょ」
「それじゃあ、今度の13日はどうですか?」
「13日って、何曜日です?」
「日曜日ですね」
「だから、日曜日はやめてください」
「それでは、伺う日は置いといて、とりあえず、アンケート用紙をお持ちします」
「いや、これからもう、出かけるんです」
「あ、はい。どうぞどうぞ出かけてください。出かけて、お金使っちゃってください。アンケート用紙は投函しておきます」
「じゃあ、そうしてください」
帰ってきてからアンケート用紙を見ると、封筒には「13日に伺います」と書いてある。
日本リサーチセンターというのはまともな会社なのかと疑い、電話をしてみる。
事情を説明すると、「ご迷惑をおかけしました。調査員には指導しておきます」と謝った。
アンケートは断った。
電話による世論調査は、昼間自宅にいて電話に出られる人々からの調査だから、世論を反映していない、というのはよく言われることだ。
訪問による調査も、調査員の都合に合わせられて、調査員の無礼にも耐えられる人々の回答だ。世論を反映しているとは、とても言えないだろう。
(FY)