小学校教諭が、廊下を走った児童に土下座させたとしてニュースになっている。半沢直樹のドラマの影響か知らないが(おそらく関係ないが)一つ土下座のニュースが出ると次々と土下座ニュースが飛び込んでくる。
今はこんなことでニュースになるのが不思議だ。よほど日本は平和なのか。この教諭を庇うつもりは毛頭ないが、これぐらいのことは20~30年前、私が子供の頃はいくらでもあった。よく覚えているのは、入学したての小学1年1学期の事だ。「黒板に書いたことは全部ノートしろ」とガタイの良い先生に言われ、書くのが遅い私は必死にノートを取っていた。途中で「書くのを止めて前を向け」と言ったらしいが、夢中でノートを取っていた私は気付かなかった。突然、先生がツカツカと寄ってきて「戸次!前を向けというのが分からないのか!」と怒鳴りつけられ思いっきり拳骨で殴られた。入学して1ヶ月ぐらいの小1に対してだ。勢いで椅子から転げ落ちた。電信柱に激突した時より痛かった。私はわんわん泣いて次の日から3日ほど休んだ。それから泣き虫というあだ名がつけられたが、特に学校として問題になることも無かった。
廊下を走るなというのは当然教えるべきだが、元気の余る子供に走るなというのも無理だろう。子供は基本的に、勝手に好きなことをするものだ。それをどのように抑制するかが問題となる。
宿題をしない生徒に「ペンチで歯を抜く」と脅した教諭が問題となってやはりニュースになっていた。4、5歳の頃だが、私の通っていた幼稚園の副園長は「言うことを聞かない子は腕を切り落とす。それでも駄目なら2本目も切り落として、次は両脚も切る」と常々言っていた。今なら大問題な発言だろう。実際切り落としたことは無いだろうが、怖くて大人しく言うことを聞いていたものだ。
1980年代頃は学校と先生の方が強かった。だから理不尽な事もまかり通ってしまった。おかげで生徒が泣き寝入りすることはよくあった。時代が変わり、今は生徒と保護者の方が強い。モンスターペアレンツなんていう、クレーマー保護者も注目される時代だ。一方でまともな先生や学校側が泣き寝入りする時代だが、おかしな先生が必ずいるのは、教育現場に何か問題があるのだろうか? 暴言一つで全国ニュースになるのだから、まともな先生なら萎縮して何もできないだろう。今は平手打ち一つで体罰と言われる。
正に振り子の原理で、学校が強い時代が酷いほど、逆側に振れた時保護者と生徒が過保護にされる。こんなニュースが全国で報道されるというのは、マスコミが振り子を強い方へと後押ししているのだ。ただ面白くて話題になりそうなら、報道するのだろう。いずれまた、振り子が逆に振れて保護者と生徒、学校と先生の立場が逆になる時代が来るかもしれない。どこかで公正な判断が出来なければ、延々に振り続ける。マスコミはただそれを面白がって、振りを大きくするだけだ。
(戸次義継)