12月末でCSKAモスクワ(ロシア)との契約が満了する、日本代表MF本田圭佑のACミラン(イタリア)入団が正式に発表された。背番号は、ファンタジスタ、つまり万能型でファンを魅了する選手でなおかつエースを意味する“10番”。3年半の契約期間で、年俸は約7億7,000万円。
「メッシやクリスチャーノ・ロナルドにも匹敵する厚待遇です。このところ、ACミランは財政難で、大物選手を他チームに放出してなんとか経営を維持できていますが、本田がもってくるはずの日本スポンサーの金は一説には10億円を超えるとも言われます。まさにACミランにとって本田は金になる打ち出の小槌だったのです」(サッカー記者)
ある程度、収益を出さないとペナルティが課されるイタリアのサッカー界において、ACミランの場合は、しごく簡単に言えば、チャンピオン・リーグへの参加権を失うほどの経営難だ。それでもなおかつ、本田を獲得に行くのは「7億円をドブに捨てて、放映料やCMなどのジャパン・マネーでその何倍も稼ごうということです。そうでなければ、日本人に、かつてパパンやフリットがつけた10番など渡すはずがありません」(前出・サッカー記者)
ACミランでは、「最初の半年は、イタリアのサッカーに慣れてもらおうと考えている」と幹部が話している。世界で一番、レベルが高いと言われるイタリアのセリエAで本田が期待されているのは、そのフリーキックの精度や、得点やパスの能力ではない。あくまでも本田が引っ張ってくるジャパン・マネーである。
「ただし、カテナチオ(鍵)と呼ばれる鉄壁の守備について本田が体感できるのは日本代表にとって、大きなプラスになるだろう。どのような布陣で守りきれるのか、守備が課題の日本代表にもたらすものは大きいはずです。そのことだけでも、本田がイタリアに渡る意味はあると思います」(前出・サッカー記者)
さまざまな思惑の中、本田はついにイタリアでベールを脱ぐ。
金に枯渇した名門ACミラン、注目のシーズンが始まる。
(鹿砦丸)