2月15日、「労働組合は役に立つのか」と題されたシンポジウムが、専修大学で行われた。
開会の挨拶に立ったのは、『労働貴族』(鹿砦社)でもインタビューに応じている、前田裕晤氏である。「いわゆる右派であっても、労働者に根を置くのそうでないのかで違う」と、戦後から現在まで、労働者の立場に立った労働運動を行ってきた中から掴み取った真理を、前田氏は語った。
労働・社会政策が専門の兵頭淳史氏(専修大教授)の司会で、石川源嗣氏(東部労組副委員長)、加瀬純二氏(下町ユニオン事務局長)、鳥井一平氏(全統一労組副委員長)、平賀雄次郎氏(全国一般なんぶ委員長)、松本耕三氏(全港湾書記長)、村山敏氏(神奈川シティユニオン委員長)が、それぞれの実践を語った。
中小、零細企業や非正規労働者、外国人労働者を対象に、地道な労働相談を積み重ねて、組合員を増やし運動を広げている。その中での苦労や工夫が具体的に述べられていく。
『労働貴族』でテーマになっている、会社と一体となった企業内労働組合、いわゆる御用組合のことにも話題は及ぶ。
石川源嗣氏は、阪急トラベルで“みなし労働制”を労働組合が会社側に都合のいい形で認めていた実例を挙げ、「御用組合が、労働運動をさせないためにあるというのは、まさにその通りだ」と断じた。
平賀雄次郎氏は、「御用組合は会社への規制力が弱い。少数組合の方が、規制力が強く成果を上げられる」と、御用組合と闘い、労働者を自らの組合に結集させてきた実績から語った。
先の都知事選では、御用組合のナショナルセンターと言っても過言ではない連合東京が、舛添要一の支持に回った。連合東京の会長は、東電労組出身の大野博氏。原発を稼働させたい電力総連などの意を受けたものだ。
だが連合東京の半数近くを占めるUAゼンセンは、機関決定で細川護熙の支持を決めていた。
全労協や全労連など他のナショナルセンターは、「脱原発」を掲げている。連合では、まるで福島第一原発の事故などなかったかのごとく、「脱原発」は言われていない。もちろん、電力総連の意を受けてのことだ。
だが今、連合の内部でも、「脱原発」を掲げるべきでは、という声が上がり始めている。
実際の行動で、そこに切り込んでいく、という力強い発言もあった。
熱気のあるシンポジウムとなった。
(深笛義也)
★写真は、開会の挨拶をする前田裕晤氏