経済協力開発機構(OECD)の調査で、男性の家事参加は世界でも最低のレベルとの結果が出た。参加に協力的とされたノルウェーでは、男性は約3時間、女性は3時間半の家事労働。
日本では、男性は1時間2分にとどまり、女性は約5時間を家事に費やしていた。

ノルウェーと日本というと、労働環境が違うという反論が出てきそうだ。
異常に長く職場に拘束される日本の働き方では、家事への参加は難しい、という見方だ。

だが、共働きなのにもっぱら妻に家事をさせているのは年輩の男性かと思ったが、身近で見聞きする例では、若い世代にもそうした例が多いようだ。
しかもそうした夫は、「いただきます」とも言わず、出された端から料理に箸を付けていく。感謝の言葉はおろか、「うまい」とも「まずい」とも言わない。
自分は最初からビールを飲んでいて、気づくと妻に「おまえも飲むか」と声をかけるのが愛情だと思っている。
普段の食事には何も言わないのに、お茶漬けをかき込んだときだけ、「ああ、うまい!」と声に出す、という夫もいる。

こんな夫を持った女性は、不幸である。
料理を作る喜びの大きな一つは、食べた人に喜んで貰うことだ。
手作りの料理を出されたら、感謝したり褒めるのが当たり前だが、そういうことは映画の中など別世界の出来事だと思ったまま、一生を終えることになる。

そんな夫婦が実に多くあるようだ。
これでは、労働環境のせいにはできないだろう。
その時間に夫婦がそろっているのだから、一緒に料理を作ることができるはずだ。
夫の帰りが遅いので、妻が料理を作っていたというなら、なおさら感謝やねぎらいの言葉が必要だろう。

様々な食材に触れながら、加工していく。料理するというのは、仕事では使わない部分の脳を使う。脳のストレッチになるのだ。掃除や洗濯にも、同じことが言える。掃除で瞑想に近い状態になり、思わぬアイディアが浮かぶこともある。

家事への参加を心がけていれば、男性の働き方にも変化が出てくるはずだ。

(深笛義也)