まだまだ続く、佐村河内守バッシング。ヒーローが堕ちていく様を見るのは、蜜の味だから、それも当然だろう。小出しにネタを提供し続けてくれる佐村河内守は、ありがたい存在。マスメディアにとっては2度美味しい、佐村河内守である。
それ以外にも、佐村河内守ネタが喜ばれる理由はある。
誰しもが、自分を大きく見せようと、あるいは仕事を有利に進めようと、何かしらのウソをついている。
自分はあそこまではやってないよ、と佐村河内守は安心させてくれる存在でもある。
かくいう私も、自分のことを語るとき、意図的に相手を錯覚させることを言っている。
革命運動をやっていて逮捕され、半年間、千葉刑務所に入っていた、というものだ。
これ自体は、全く事実の通りである。
だがこれを聞くと、懲役刑に服したのかと、たいていの人は思い込んでくれる。
実際には、判決が出る前の未決勾留で入っていたのだ。
東京なら、東京拘置所に入るわけだが、千葉には拘置所はない。それで、刑務所で拘置される。有罪判決を頂戴したが、執行猶予が付いたので、刑には服していない。
これを言って、「それって未決でしょ」と突っ込んできたのは、今は亡き、我が友、見沢知廉だけである。
あるライブハウス経営者は常々、言っていた。
「うちは、チャージは全部出演者にあげて、店は飲食物の売り上げてやっている。普通のライブハウスとは違う」
だが実際にイベントをやってみると、チャージからも店は取っていく。文句を言うと「あれは昔の話だ」で終わり。
もうここではやらないようにしようと思うだけで、公にするほどのことでもない。小さなウソである。
教科書にも作品が載っている歌人は、いつも「愛」や「人の道」について語っている。
この人の知り合いの歌人は、子どもを育てるためにソープランドで働いていたが、店での評判を落とす書き込みを、ずっとネットに書き込んでいた。
その歌人が週刊誌でインタビューを受けると聞くと、つぶそうと誹謗中傷を書いたハガキを編集部に送ったりもした。
それでもその人は、相も変わらず、「愛」や「人の道」について語っている。
40年以上、生徒を教えてきた、元シナリオライターは常々言っていた。
「君たち、愛人を持つなら一流の女優にしろよ。二流三流だとスキャンダルになるけど、一流ならマスコミも怖がって表沙汰にはならないから」
蓋を開けてみれば、センセイの愛人は女優ではなく、教室の生徒だった。
少し話していると、かなりの無知であることが分かるセンセイ。本人が白状したところによると、40年以上、本を読むことも、映画を見ることもしていないという。それで生徒を教えているのだから、立派と言えば立派だ。
人は皆ペテン師。
凡百のペテン師と比べれば、NHKや大手新聞を騙していた、佐村河内守はやはり凄い。新たに自伝を出すなどして、スーパーペテン師として名を馳せていってほしいものだ。
(深笛義也)