近年、冠婚葬祭互助会に関するトラブルが相次いできたが、昨年12月13日、京都地裁で画期的な判決が出た。
互助会の大手「セレマ」を相手取って、互助契約の解約の際に取る多額の手数料が消費者契約法に違反するとして、NPO法人「京都消費者契約ネットワーク」が訴えていたもの。
京都地裁は、NPO法人側の訴えを認めて、返還を求めている9人に手数料を支払うよう「セレマ」に命じたのだ。

互助会というのは、何なのか。名前からは善意の助け合いのように見える。営業に回っているのが、見るからに人のよさそうな、50代から60代のおばちゃん。
「これに入っていれば急なお葬式の時も心配ないし、結婚式にも使える」
「本当に助け合いでお得なシステムなので、一家庭で契約は一口までと限っている」
そんな言葉で誘ってくる。
月2~3000円の掛け金なので、知人から頼まれて、つきあいだと思って契約するというケースも多いようだ。

互助会は戦後の生活が貧しい頃、冠婚葬祭という一時的な多額の出費に備えるという目的で誕生した。現在、全国で300社以上ある。

契約時の言葉を信じて、互助会に入っているからと安心するが、いざ実際に肉親が亡くなり葬式をするという段になると、様子が変わってくる。
料理、返礼品、斎場の使用料、火葬料など、いろいろな項目が追加されていって、積み立て金額の上に加算されていくのだ。
積み立てた30万円というのは、祭壇などを借りる費用だけで、結局は数百万円かかってしまうというケースがほとんどだ。
どこがお得なの分からない。

結婚式も同じで、積み立てた金は衣装の貸し出し代にしかならない。
もちろん30万円で結婚式ができるとは誰も思わないが、営業のおばちゃんはこんなことも言う。
「椿山荘とかで、簡単なパーティなら、積立金でできますから」
だが実際にはそんなことはできず、積立金はあくまでも衣装の貸し出し代だ。

互助会に入ってしまうというのは、葬式にかかる費用が不明朗だったということもある。
だが最近、生前見積もりを行う葬儀社も増え、明朗になってきた。
家族だけの密葬なら、20万円程度でできる葬儀社もある。

結局、互助会に入っているメリットは少ない。それに気付いて解約すると2割程度の手数料を取られてしまうのだ。30万コースなら6万円だ。
契約の時と話が違うと気付いての解約だから、この多額の手数料には、騙されたと思う向きも少なくないのだ。

判決を受けて、互助会の業界が健全化されることを見守っていきたい。

(F.Y)