野田改造内閣が13日にスタートし、行政刷新担当だった蓮舫が内閣から去った。脱税で逮捕歴のある人物との交流を指摘されていたが、野田首相からではなく、藤村官房長官より退任を告げられた。蓮舫は「なぜ直接言ってくれないのか」と不満を漏らしている。
「要するに彼女の性格では『2番目ではいけない』のです。何事もトップとやりとりしないと気がすまない。これで野田は、政界再編時に必要となるはずの蓮舫というジャンヌ・ダルクを失ったのです」(全国紙政治部記者)
蓮舫は、もともと岡田に近い。一気に岡田色になるとき、副総理になり、野田グループを斬る可能性もある。
しかし、去った閣僚を見ると、「2番目ではいけない」どころか、ビリから数えた方がいいような人材ばかりだった。
問責を受けた一川保夫前防衛相は、就任直前に一部の記者に「私は安全保障の素人だが、それが本当のシビリアンコントロール(文民統制)だ」と述べ問題になった。
国会で、1995年に沖縄で起きたアメリカ兵による少女暴行事件について聞かれ、「詳細には知らない」などと答弁して、さらに素人であることを露呈した。
マルチ商法への注意を喚起しなければいけない立場でありながら、マルチ商法を擁護する演説をぶっていた、山岡賢次前消費者担当相。
「総理は山岡に瑕疵はないと言ったそうだが、山岡の資金団体は、外国人献金や裏社会とのつながりなど、叩けばほかに埃が出てくる可能性が高い」(民主党筋)
山岡は今年1月の内閣府訓示式で「ユーロは破綻する」などと根拠のない発言で官房長官から注意を受けた。
大臣のその手の発言は、株価や円相場にも影響を与えかねないが、「大臣は素人」という認識が定着すれば、相場も動かなくなるかもしれない。
内閣改造で、野田政権は素人内閣から脱却できるのか?
新たに内閣入りした、田中直紀防衛相も防衛はド素人と心配されていたが、15日のNHK番組での発言で、自衛隊の海外での武器使用基準緩和問題と、武器禁輸政策の見直しを取り違え、誤りに気付かなかった。
おりしも、内戦の続く南スーダンに、自衛隊は赴いている。
武器使用基準緩和は、防衛相でなく一議員としてでも、抑えておかなくてはならない問題だ。
これが学生なら、「キミは何を勉強しているんだ!」と教官から叱責を受け、落第必至の間違いだ。
「民主党秘書筋に言わせると、つぎの選挙では大臣だとしても応援体制や資金援助などでは優遇しないという路線らしい。野田は『最強最善内閣』といったが、実は《最凶据膳》内閣かもしれない」(自民党関係者)
古くからの民主党の支持団体の関係者は言う。
「国会の運営がまずくなると、問責を受けた、あるいは問責を受けそうな人材を外して、野党とパイプがある人材をもってくる手法は自民党と同じ。この内閣はかなり野党におもねっており、むちゃくちゃだ。原理・原則主義の岡田が次の総理をやるのだろう。野田が辞任してからでも岡田は『一度、消費税を上げると言ったからには、上げるのが原理・原則』と言いかねない。そもそも、消費税は財務官僚と歴代の自民党の首相がひそかに温め、そのロマンを忘れることができない与謝野馨(菅内閣当時・経済財政政策担当大臣)が引き継いだ。消費税議論は自民党内で議論されてきた当初から国民のほうをまったく向いていないのです」
(経済アナリスト)
08年あたりに与謝野と熱心に消費税増税の議論をしていたのは、現在の谷垣自民党総裁。年頭所感で「消費税増税しないといった民主党は許せない」とぶち上げた。茶番にもほどがある。
(渋谷三七十)