4月から大口の事業者向け電気料金の値上げを強行するという、東京電力。
この消費者をナメきった態度を見て、改めて読んでみたいのが、『もうひとつの広告批評 1 消費者をナメるなよ! 編』(鹿砦社)だ。
一昨年の発刊で、取り上げられている広告は古いが、広告のABCから解き明かしてくれ、広告の読み取り方が分かる。
広告のABC理論とは、animal(動物)のA、beauty(美女)のB、child(子供)のC。このいずれかをエサに仕込めば、客がたくさん釣れる、という理論だ。
最近は女性の購買者目当てにイケメンが出る広告も増えたので、beautyには、美男も含まれるだろう。
逆に言えば、これが必要だと消費者に訴求できる要素が商品にないから、強力なエサを仕込んでいるということだ。
この3つのいずれかが出てきたら要注意というのが、広告を見るときのABC。
だが広告は、もっと大がかりになっている。
洞爺湖サミットなどを通じ、国がかりで「地球温暖化危機」「炭酸ガス悪玉説」のドグマで国民大衆を洗脳。その上でエコカーやグリーン家電を売り込むわけだが、新たな製品を生産することによる環境負荷、廃家電や廃車による環境負荷が生じることには目がつぶられている。
「知デジ化」でハイテクテレビを全世帯に無理矢理買わせるのも同じ、国民動員政策だった。
東日本大震災で「がんばれ日本」と国民が一つになっているときこそ商機と、企業は策をこらしているに違いない。
脱原発に向かっていくのは当然だとしても、脱原発までも新たな商品売り込みのチャンスと捉えるのがブルジョワジーだ。
それをしっかりと見極める目を養っておきたい。
自らの安全管理の怠りによって引き起こされた原発事故にも関わらす、火力発電への天然ガス(LNG)の調達拡大で燃料費が増大しているなどとして、値上げを強行する東京電力が許されないのは言うまでもない。
偽りの広告宣伝で人をだまして、インチキ商品を売ることを「羊頭狗肉」と言う。
画像修正ソフト「フォトショップ」を始めとしたデジタル技術の発達で、それは実にさりげなく行われるようになっている。
本書では、ファッション誌の表紙を飾ったデミ・ムーア、自民党議員の片山さつきの選挙写真、2010年に米政府が発表したビンラディンの写真まで、そのデジタル加工ぶりが暴かれている。
笑い飛ばせる小さなウソから、国家レベルの大きなウソまで、そこに貫かれている人を騙そうとする精神について、本書はことごとく追求しているのだ。
(FY)