電化製品を処分する場合、極力、リサイクルショップ「ハード・オフ」に持っていくようにしている。近所にあるからという理由もあるが、なにより、なんとかしてリユースしたいという精神が好きだからだ。
以前、壊れたシュレッダーを持って行ったときのこと。壊れているのは、刃の部分ではなく、紙を感知するセンサーだという。「これなら、刃はきちんと回るから。常にセンサーを活かしておいて、コードの差し込みでスイッチのオン・オフをやればいいんですよ」と言うのだ。
センサーはもう当てにせず、スイッチを入れたらすぐに刃が回るようにする。電源コードごと抜くことで、スイッチのオン/オフをすれば、まだ使えるというのだ。

「夢の島ってありますよね。あそこに捨ててあるものでも、直せばなんとかして使えるんじゃないかという発想で、うちの店は始まったんです。たとえば、傷があるCDも売っています。『1曲でも聴ければ』というお客さんがいるから売っているんです」
目から鱗だった。そもそも2010年、「WINDOWS2000」のサポートが切れて、インターネットエクスプローラーやら、アクロバットリーダーやらさまざまなソフトも同時に見られなくなり、あわてて「ファイアボックス」をダウンロードしたりして対処した。古いものがすべていいとは思わないが、イノベーションには犠牲が伴う。そしてしばしば、一部の人にとってイノベーションの進歩は速すぎてついていけない。
このような時代に、「ハード・オフ」のようなリサイクルショップがあるのは、実にホッとする。

「ハード・オフ」には片方しかないスピーカーや、CDが聞けないラジカセがある。あれこそ「イノベーションを否定」しているようで気持ちがいい。イノベーションの最たるもの「スマートフォン」は、情報流出事故が相次いで信用できないではないか。
このような主張はマイノリティだろうか。あながちまちがってもいないと思うのだが。

(渋谷三七十)