民主、自民、公明3党の幹事長、政調会長は、2012年度から子ども手当を廃止、児童手当を拡充して復活させることで合意した。
「そもそも、民主党はマニフェストで、11年度から『中学卒業までの子供1人あたり月額2万6000円を支給する(10年度は半額)、しかも国費で全額やりくりできる』とぶちあげていました。だが10年度の子ども手当は財源が足りなくて運用できず、自治体や企業は、かつての児童手当のシステムを活用せざるを得なくなり、11年度分でも制度設計が成り立ちませんでした。この破綻で、世のお母さんは、家計にずいぶん狂いが生じました」(マーケット・アナリスト)
普通の家庭ならば、月に2万6000円というのは生活に直結する大きな額であり、かなり当てにすると思う。それだけにがっかりと肩を落としている主婦は多い。
焦点の所得制限は、年収で諸控除前の額面960万円程度とすることで3党は折り合った。自公両党が求めていた10月からの復活は見送り、子ども手当を再延長する「つなぎ法修正案」の付則に12年度からの実施を明記する予定だという。
「民主党はメンツを保つために迷走に迷走を重ねました。昨年の12月に、『子どものための手当』と呼び方を変えるように提案。自民と公明が『それは3党合意を無視することになりやしないか』と拒否すると、政府は一方的に改正案を国会に提出したのです」(民主党幹部)
今月に3党協議が再開されたが、自民と公明が決めた「児童手当」という名称を避けたい民主党は、「児童成育手当」「児童のための手当」という新名称を相次ぎ提案するという姑息な逃げを打っていた。
高速道路無料化、ガソリン税の暫定税率撤廃、普天間の米軍基地の県外移転……。もう語りつくされたが、マニフェストは「総崩壊」である。
こんな声を民主党支持者から聞いた。
「あきれた。国会は1日開くのにも数億かかる。これだけ時間をかけて児童手当に戻すとは、いったい何を議論していたのか。だからダメなんだよ、野田政権は」
識者は別の角度からあきれる。
「この内閣は不思議だ。それでも野田政権の支持率が50%を切らないのだから。ある意味で妖怪内閣だと言えるでしょう」(古参の政治記者)
一人の記者として永田町にいると最近、感じるのは与党の議員の間に流れる「再び小沢一郎先生に登場していただかないと」という奇妙なムードである。
岡田幹事長までもが小沢に愁波を送っているらしい。
しかし周知のように、小沢は政治資金規正法で裁判をようやく終え、今や4月末の判決を待つ身だ。
「実力がある政治家どうか知らんが、判決を待っているような議員に期待をしていること自体が、今の与党の断末魔なのです。なにゆえに支持者もそんなバカさかげんに気がつかないのか」(自民党議員秘書)
今の与党は、小沢一郎がくしゃみをすれば風邪をひく。野田首相は何かというと「イチさん(小沢一郎)はなんと言っているのか」と側近に聞くという。いっそのこと、総理を小沢一郎に代わってもらったらいかがだろうか。ただし、無罪を勝ち取ったら、の話であるが。
(渋谷三七十)