在日外国人への生活保護の支給率が多すぎるということを、自民党の片山さつき参院議員が予算委員会で問題にして話題になっている。
片山氏は「例えば、韓国では日本人は生活保護を受けられない」と、国際法上の“相互主義”に反する可能性も指摘した。
しかし考えてみてほしい。韓国に、2世代3世代前から住んでいる日本人が、どれだけいるだろうか?

片山氏は語った。
「生活保護費は2010年度で3・3兆円。このうち仮試算で1200億円弱も外国人に払っている。保護率は日本人の2、3倍。3分の2が朝鮮半島出身の方だ」

生活保護が受けられるのは、特別永住者である外国人。敗戦前から日本に住んでいた朝鮮半島、台湾出身者とその子孫である。
敗戦前には、朝鮮半島、台湾は日本であった。彼らは日本国籍を有する国民であったのだ。敗戦によってそれらの土地が日本ではなくなり、彼らは日本国籍を喪失した。しかし多くは日本に生活の基盤を築いており、故国に戻ることは難しい。そこで彼らを特別永住者として、様々な権利を認めているのだ。

日本が、韓国の一部であったことはない。「韓国では日本人は生活保護を受けられない」などと言って“相互主義”を持ち出す片山氏は、そのような歴史を知らないのか。

在日外国人の多くは、2世3世の時代だ。日本で生まれ育っている。
日本の国籍は血統主義だが、アメリカやカナダ、オーストラリアのような出生地主義だったら、国籍が取得できる人々だ。限定つきの出生地主義の多いヨーロッパでも、定住している親から生まれた子供は国籍が取得できる。

「帰化すればいいではないか」
外国人参政権の議論でも、よく言われることだ。私も、それ自体には賛成だ。
昔は帰化する場合には、もともとの自分の名前を捨て、日本風の名前にしなければならなかった。民族的なアイデンティティを捨てなければならなかった。
だが今は、もともとの名前のまま帰化できる。李でも朴でも金でも、OKだ。
アフリカ系アメリカ人、イタリア系アメリカ人、ユダヤ系アメリカ人がいるのと同じように、民族性を保ったまま、国という法共同体に入れるのだ。
そのように変わったのは、心ある法務官僚の尽力の賜物である。

だが実際には、特別永住者であっても、帰化は簡単ではない。
帰化の条件は以下の7つである。
・引き続き5年以上、日本に住所を有すること
・二十歳以上であること
・素行が善良であること
・生計を営むことができること
・元の国籍を失うことができること
・日本を破壊するような思想を持っていないこと
・日本語の読み書きができること

特別永住者であれば誰でもクリアできそうだが、実は「素行が善良であること」という条件がやたらと厳しい。
北朝鮮籍であった私の友人は、何度帰化申請しても許可されなかった。
親が朝鮮総連の幹部でもあったが、仕事がアダルトビデオのカメラマンであったことが、善良でない、と判断されたのだろうと、彼自身は思っている。許可しない理由は明示されない。言うまでもなく、彼が撮っているのは、合法的なビデオだ。
帰化するのを諦めた彼は、韓国籍を取得した。親が朝鮮総連であっても、彼自身はチュチェ思想などには無関心だ。

別の韓国籍の友人も帰化できないでいる。週刊誌の記者であることが、善良でない、と判断されたようだ。

帰化できなかった人々は大きく声を上げることはない。帰化を願っていたことが分かれば、元々の民族的コミュニティから弾き出されてしまうおそれもある。

外国人参政権を付与するよりも、帰化しやすい条件を整えるのが人々のためになると思うのだが、その声は広がらない。

このような状況が分かった上で、在日外国人について語っていただきたい。

(FY)