亀井静香が、国民新党の代表を「解任」され離党した。
「党の代表が解任されるなんてちょっと記憶にありませんね。政治史に残る汚点でしょう。そもそも『国民新党』と投票で書いてくれた有権者への説明もきちんとなされていない」(政治ジャーナリスト)
まあ、当然の意見だが、私の見方はちがう。
亀井は、消費税増税に反対=与党とは連立できない、というロジックを振りかざす。
だが亀井はズバリ、震災復興利権の甘い汁を吸えなくて、へそを曲げたのだ。
亀井静香は、本来であれば瓦礫処理にせよ、仮設住宅の建設にせよ、西松建設をはじめとして動かせるゼネコンを複数持っている。
「ところが、復興についての指揮をとっているのは、目立ちませんが影でうごめいている仙谷由人です。水谷建設や鹿島建設とのルートを駆使して、うまく甘い汁を吸っている。亀井静香はこれにへそを曲げたのです」(民主党議員私設秘書)
仙谷は民主党政策調査会の顧問という地味な位置にいるが、なかなかどうして腹黒い暗躍フットワークは衰えていない。
「仙谷は管直人が辞任表明した昨年の6月2日夜、都内のホテルにてベトナムの有力政治家を招いて食事会を開いた。ベトナムへの原発輸出の再開を模索してのことです」(全国紙政治部記者)
さらに、仙谷は枝野官房長官をタッグを組み、昨年5月24日、内閣官房に設置された「東京電力に関する経営・財務調査委員会」を立ち上げ、東電の経営状態をリサーチするチームの長として就任している。
「これで、総資産14兆と呼ばれる東電を掌握すると同時に、瓦礫処理やインフラの整備などの利権も握りました。この話を、亀井はまったく聞いておらず『どうなっているんだ』と仙谷の秘書に怒鳴りこんだとされています」(亀井静香周辺)
国民不在の「永田町利権ゴロ」たちの三文芝居だ。
亀井は離党会見でこう語った。
「社会保障の設計がないのは順番からしておかしいと言ったが、『それはそれとして進める』と言う。やるべきことをやらないで、国民に約束したことを反故(ほご)にして、やらないでいいことをやると言う。何かに取りつかれているとしか思えない。加えて、野田首相は、私が連立離脱を宣言した政党に対し、『党内にはいろいろな意見があるようだ』と言い、党内干渉のような対応をした。これは議院内閣制、政党政治の完璧なる否定です」
亀井は今後について、「日本の政治はこれじゃいかんという地方からのうねりの中で、新しい政治勢力を結集していく」と言った。亀井がターゲットにしているのは野田首相ではない。「自らの復興利権」を邪魔する連中である。表面ばかり見ていると陥る「利権構図」がそこにある。
(渋谷三七十)