「冗談じゃありませんよ。たとえば、東京ー青森間で3500円などと、安すぎると思ったが、廉価なバス料金の裏に、そんなからくりがあったとは」(交通ジャーナリスト)
関越道で7人が死亡したツアーバス事故で、群馬県警は4月5日、自動車運転過失致死傷容疑で逮捕された運転手河野化山(かざん)容疑者(43)の千葉市内の自宅など2か所を捜索した。事故前に宿泊したホテルや食事をしたショッピングモールにも捜査員を派遣し、居眠り運転の理由を「疲れていた」などと供述している河野容疑者の過重労働の有無について調べを進める方針だ。
県警が押収した関係資料10点には河野容疑者の勤務状況に関する書類も含まれているという。バス運行会社「陸援隊」(千葉県印西市)の運行管理に関しては、道交法違反(過労運転の下命・容認)も視野に調べる方針で、週明けにも針生裕美秀(ゆみひで)社長を任意聴取する予定だとされる。
「バスの運転手は、この運転とは別に、中国人が日本に来るときのバス手配を深夜にしていたとされてます。バス運転手が他のアルバイトをしているなど、通常では考えられません」(ツアー会社スタッフ)
問題は多数あるというが、観光バスの運転手の規定を緩和したことが主たる原因ではないか。
「最近は規制緩和が進み、簡単に観光バスの免許が取れてしまう。くわえて、バス会社はつぎつぎと倒産してしまい、不景気でバスが余っている中で事故などの問題が起こっています。タクシーの運転手が厳しい規則で働いているのに、バス会社は、ルールがもはやないほどに業界が緩んでいる。サービスの安全は基本ですから、各業界の人はぜひとも目を覚ましてほしい」(バス会社スタッフ)
個人的には、旅行でバスはよく使う。箱根ー東京で3000円などザラで、明らかに電車よりは安いのである。それゆえに確かに、バス料金は安いほうがいい。しかし安全こそがサービスの基本である。
この問題はどこか、安い電気料金を追求していった原発の問題と似ている。
5月5日深夜、北海道の泊原発が停止して、この国のすべての原発が停止した。
これは、鹿砦社も含めて私たちが東電の責任を追及を続け、国民が節電を繰り返したり、電気料金の値上げを、にがにがしくもうけ入れるなど苦しい思いをして得た、ひとつの結論であると思う。これからは私たちはエネルギーをどう使い、いかに節約するかが問われている。
バス会社の安全確保はこの先、容易ならざる道をゆくはずである。しかしこの際、すべてのバス会社は、「運行ルールや安全」について「ストレステスト」を受けるべきであり、事故が限りなくゼロになるのを祈るのみである。
(渋谷三七十)